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Posted on September 18,2013

プライス・コレクション-江戸絵画の美と生命

20130912_Fukushima_Flyer
伊藤若冲、曽我蕭白、その他数々の江戸絵画の名品のコレクターとして知られるジョー・プライス氏のコレクションが、3.11東北震災の復興を願い来日しているのがご存知の通り。今年の3〜5月が仙台、5〜7月が岩手、5〜7月が福島と、東北各地を巡回していた。
今まで、様々な展覧会でプライス氏の所蔵品は見ているわけだが、今回は一挙に開陳。しかもプライス夫妻のご好意で、収益が東北のためにもたらされる。となれば行かずばなるまい!っと思っているうちに会期終了が迫って来てしまったので、先週強引に時間を作って見に行って来ました。
本当は各会場に行きたかったのだが、やっと間に合ったのが福島、拙にとっては他の2都市とちがい初の訪問でゴザイマシタ。

福島までは車で行ったが、これは駅前のショット。県庁所在地とは思えない閑静な駅前でした。

福島までは車で行ったが、これは駅前のショット。県庁所在地とは思えない閑静な駅前でした。

駅前には郷土出身の大作曲家、古関センセイの銅像が。数々の名曲を作られた稀代のメロディー・メイカーのセンセイのお若い頃の姿です。ん?弾いているのがピアノじゃなくて、ハモンドB3じゃぁ、あ〜りませんか!!格好いいですねぇ。

桃太郎海の神兵、六甲おろし、オリンピックマーチ、数々のマーチで和製スーザの異名もあるセンセイです

桃太郎海の神兵、六甲おろし、オリンピックマーチ、数々のマーチで和製スーザの異名もあるセンセイです


飯坂の方に、記念館もあるらしいのですが、今回は美術館の一点集中なのであきらめ。また来よう!
山を従えた風情がよろしいですね。

山を従えた風情がよろしいですね。


で、福島県立美術館。福島駅から、それほど遠くない立地ですが、自然がたっぷりのなかに位置しています。駐車場脇の植木に「放射線レベルが高いので立ち入り禁止」との表記。こんないい環境なのに・・・。
会場に入ると、地元の人たちも多く来場されているようで、大賑わい。とはいえ鑑賞はそれほど大変ではありませんでした。
今回の図録。

今回の図録。


図録やフライヤーは、もちろん若冲作品の中でもっとも著名な「鳥獣花木図」(伝ですが・・)。東北の震災を知ったプライス氏が、真っ先に思い浮かべた作品。そもそも生命力にあふれた、この作品を被災地の人たちに見て欲しいと願ったことから、今回のイベントが実現したそうです。
と、そんな思いにふけっていたら、なんと会場に小柄な老アメリカ人・・・『生プライス』でした!!
同行の日本人女性に、作品解説をしながら回っていましたが、どうも拙の鑑賞ペースとシンクロしていて、そのあと色々な絵の前で遭遇。おかげで彼が解説している会話も聞けてしまいました。
Price
グッズ売り場にはエツコ夫人もいらっしゃいました。短く今回の展覧会の御礼をお伝えしておきました。
鶴図屏風

鶴図屏風


『鳥獣火木図』も、表現法に工夫がされた素晴らしい作品ですが、若冲のスゴさは、このような一気呵成に描いた水墨画でも、高度な表現とデザインがされている事でしょう。この鶴図も以前も見たことがありますが、やはり何回見てもスゴイ!墨という画材を知り尽くし駆使しています。
同じく鶴を描いた琳派の画家鈴木其一の作品もズバらしい
群鶴図屏風 by 鈴木其一

群鶴図屏風 by 鈴木其一


METにある朝顔図に負けず劣らず其一のデザイン・センスが発揮されている傑作ですね。ん〜いいなぁ、やっぱり。其一はこの他にもいい作品がいっぱい。抱一が師匠では物足りなかったのも解ろうというもんです。
猿の祖仙・・・猿の祖先じゃぁありません。森祖仙の猿です。この人も大好きな人です。
20130912_Fukushima_猿図
蜂を上部に描き、間を活かした構図と墨を駆使した、猿の毛並み表現(これは実物をみないと分からない部分)が素晴らしいですね。
というわけで、プライス・コレクションをいくら紹介してもキリがないので、このへんで。
展示の中に、プライス夫妻を描いたデッサンがありました。
福島出身の版画家斉藤清氏の作品でしたが、同時開催の常設展示で、斉藤氏の作品があるというので、こちらも見てきました。これが素晴らしかった!
斉藤清_ねこ
近代版画で有名な方ですが、雪景色を描いた作品しか知らなかったので、数々の動物を描いた作品の素晴らしさに圧倒されました。
斉藤清_ねこS
動物以外も
斉藤清_CLAY
やはりデザイン化された、構図と版画の技法がスゴイ!!改めてこれらの作品を知らなかった己の蒙を恥じ入った次第です。

グッズSHOPで、色々買い占め、閉館ギリギリまで粘って退場。
晩飯を食べるために、駅前で店を物色していて、駅から歩いて3分くらいのところで、こんなビルを見つけました。
20130912_Fukushima_OldBldg
古いビルを数々のテナントが活用している様は、もう無くなってしまった「同潤会アパート」を彷彿させてくれました。いい感じだなぁ。
・・・こうして、福島市初体験の日が暮れました。

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